来月の支払いが心配でも、『いくら足りないか、まだ分からない』と相談をためらうことがあります。書類がすべて完成するまで待つ必要はありません。支払日が近いなら、手元の通帳と請求書をもとに、不足しそうな時期を伝えるところから始められます。この記事では、相談先の選び方と、最初の面談に向けた準備を説明します。
1. 返済の相談と、店の収支の相談では窓口が違う
すでに借りているお金の返済が難しくなりそうなら、まず借入先の金融機関へ連絡します。日本政策金融公庫からの借入は取引支店が窓口です。公庫の公式FAQでも、返済条件の見直しは取引支店へ相談するよう案内されています。相談しただけで返済条件が変わるわけではなく、個別の確認と手続きが必要です。
売上が下がった理由や、仕入れ・人件費の見直しも含めて相談したい場合は、よろず支援拠点などの公的な経営相談窓口が候補になります。よろず支援拠点は国が設置した相談所で、経営の相談を無料で何度でも受け付けています。融資を実行する金融機関とは役割が異なります。
帳簿の数字が整理できないときは、顧問税理士にも状況を伝えてください。試算表や未払金の確認を頼めるか、契約に含まれるかを確認します。複数の窓口へ相談する場合も、借入残高や不足額の説明は同じ資料にそろえておくと、話が食い違いません。
2. 『いつ・何の支払いに・いくら不足するか』を出す
最初に、現金と事業用口座の残高を書きます。その下へ、家賃、給与、仕入れ、返済などの支払予定を日付順に並べます。カードや予約サイトからの入金も、売上が立った日ではなく振込予定日に記入してください。未確定の予約売上を、確定した入金と同じようには扱いません。
例えば手元資金が40万円、25日までの確定入金が20万円、同日までの支払いが85万円なら、その時点では25万円不足します。翌月にも不足が続くかは、別に確認が必要です。これは説明用の想定例で、必要な借入額を25万円と決めるものではありません。営業に残す資金や、その後の入出金も含めて相談します。
当月の不足だけを補っても、毎月の支出が売上を上回っていれば、また不足します。一時的な入金の遅れなのか、売上減少が数か月続いているのか、厨房設備の故障でまとまった支出があったのかを、分かる範囲で書き添えます。原因を一つに決めつけなくても構いません。
3. 面談前に集めておく資料
公庫の返済相談では、税務申告書・決算書、資金繰り表、経営改善計画書などが例示されています。ただし、必要な資料は状況に応じて異なり、省略を含め柔軟に対応すると案内されています。手元の資料を伝え、持参するものを担当者に確認してください。
店内で準備するメモは、直近の月別売上、現在の預金残高、今後の支払い、借入先と毎月の返済額が中心です。借入は一つの銀行分だけでなく、事業のために使っているものを一覧にします。カードの分割払いなども、今後の支出に含めて確認します。
請求書がまだ届いていない仕入れは、概算と分かるように書きます。見込みを実績に見せたり、負担を少なく見せるために支出を省いたりすると、実行できない計画になってしまいます。書類不足を理由に連絡を先延ばしにせず、まず相談日と追加資料の提出日を決めます。
- 直近の申告書・決算書と、あれば最新の試算表
- 現金・口座残高と、今後の入出金予定
- 金融機関ごとの借入残高・返済額
- 月別の売上と、大きな支出が増えた理由
- すでに取り組んだことと、その結果
4. 最初の電話では、支払期限を具体的に伝える
相談時の言い方の例です。『飲食店を営んでいます。今月25日の仕入れと家賃の支払いまでに、現状で約25万円不足する見込みです。売上が3か月下がっており、今後の資金繰りを相談したいです。資料は通帳、請求書、前期の申告書があります』。金額や期間は、自店の確認できた内容に置き換えてください。
借入先への返済相談なら、返済日と現在の返済額も伝えます。相談を予約しただけで引き落としが止まることはありません。変更が正式に決まるまでの対応は担当者へ確認し、自己判断で返済額や支払日を変えないでください。
面談では、相談した内容、追加で必要な資料、次に連絡する日をメモします。『確認しておきます』で終わらず、誰が何を用意するかをその場で決めておくと、営業で忙しい日にも手続きが止まりにくくなります。
5. 補助金の入金を、目前の支払いに当て込まない
設備投資の補助金には、購入や事業実施の後に報告し、審査・請求を経て入金されるものがあります。『申請予定だから来月は払える』という組み立てには向きません。採択されていても、振込日や最終的な交付額が確定していない場合があります。
申請中の制度があるなら、その状態も相談先へ伝えます。設備費の一部が後日戻る話と、今月の仕入れや給与の支払いは分けて説明してください。新しい借入や返済条件の変更が認められるか、いつ実行されるかは、相談時点で保証されるものではありません。
6. 相談後も、翌週の残高を更新する
相談のために作った表は、その後も週ごとに直します。見込みだったカード入金が確定した、予約がキャンセルになった、仕入れ額が増えた、といった変化を反映します。予定していた改善が進まなければ、次の面談を待たずに担当者へ伝えます。
資金繰りの相談は、一度の借入で解決する場合も、売上や原価の改善を続ける必要がある場合もあります。返済や債務全体への対応が必要なときは、公的窓口や金融機関から適切な専門家につないでもらい、個別の判断を相談してください。
参考情報
料金、規約、制度、検索サービスの仕様は変更されることがあります。実際に契約・申請・設定を変更する前に、必ず提供元の最新情報を確認してください。
記事更新:2026年9月12日
この記事は一般的な店舗運営の考え方をまとめたものです。会計、税務、法務、労務など個別判断が必要な内容は、税理士、弁護士、社会保険労務士、公的相談窓口等へご相談ください。編集方針を見る
