飲食店の資金繰りを改善する10の方法

利益が出ていても、入金と支払いのタイミング次第で現金は不足します。資金が尽きる前に確認する数字と改善手順を、記入例付きで整理します。

店内で見積書と経費を確認する飲食店オーナー
イメージ画像:飲食店DXナビ編集部制作
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売上があるのに給与日前になると現金が足りない。その原因は「儲かっていない」だけではありません。キャッシュレス入金のずれ、在庫、税金、借入返済が重なると、黒字でも資金不足になります。

重要

本記事は一般的な経営情報です。融資、返済条件、税金は事業者ごとに異なります。金融機関、税理士、公的相談窓口へ個別にご相談ください。

資金繰りが厳しくなる前に出る兆候

通帳残高が減ってからではなく、次の変化が出た段階で確認します。売上増加中でも、仕入れや人件費の支払いが先行すれば資金は減ります。

  • 仕入先への支払いを入金日まで待つようになった
  • カードや税金の支払額を正確に答えられない
  • 在庫は増えているのに欠品も起きる
  • 短期の借入で毎月の赤字を埋めている
  • 設備故障や納税があると給与資金が足りなくなる

一つ当てはまっただけで危険とは限りませんが、今後の入出金を日付順に並べて確認します。

最初に確認する3つの数字

手元資金今日使える預金・現金
月間固定支出売上がなくても出る金額
資金余命手元資金 ÷ 月間現金流出
最大不足額13週間で残高が最も低い時点

資金余命だけでは支払日の谷が分かりません。週別に残高を出し、給与、家賃、税金、返済が重なる週の不足額を確認します。

資金繰りを改善する10の方法

01

13週間の資金繰り表を作る

月単位だけでは支払日の谷を見落とします。現預金残高から始め、週別に売上入金、仕入、人件費、家賃、税金、借入返済を並べます。

02

利益と現金を分けて考える

キャッシュレス売上は入金まで現金になりません。一方、借入元本の返済は損益計算書の費用にならなくても現金を減らします。

03

固定費を支払日ごとに整理する

家賃、リース、通信、予約サービス、保険を一覧にし、金額だけでなく解約期限と支払日も記録します。

04

仕入れと在庫を小さくする

売れない食材を抱えると現金が在庫へ変わります。発注量と廃棄を確認し、少量・高頻度に変えられる品目を探します。

05

メニュー別の粗利を確認する

売上上位でも原価や調理負担が大きい商品があります。販売数、価格、材料原価から、価格・量・セットを検討します。

06

入金と支払いの時間差を短くする

キャッシュレスの入金サイクル、仕入先の支払条件、予約金・前受金を確認し、手数料を含めて判断します。

07

納税資金を別管理する

消費税、所得税・法人税、社会保険料を通常の運転資金と混ぜず、毎月一定額を別管理する方法も検討します。

08

設備投資前に回収期間を計算する

導入費、月額、保守、教育時間を含め、削減時間や増える粗利から回収期間を計算します。

09

資金が尽きる前に金融機関へ相談する

直近試算表、資金繰り表、改善計画、借入一覧を用意し、選択肢が残る段階で相談します。

10

無料の公的相談窓口を利用する

よろず支援拠点、商工会・商工会議所、中小企業活性化協議会などを状況に応じて確認します。

13週間資金繰り表の記入例

CASE

月商300万円、手元資金150万円の店

月平均では資金が残って見えても、給与・家賃・仕入れの支払いが先に来て、カード売上の入金が後になる場合があります。まず4週間を書き出すと、第3週に安全資金を下回ることが分かります。

項目第1週第2週第3週第4週
週初残高150万円166万円77万円57万円
入金合計60万円55万円45万円160万円
支払合計44万円144万円65万円50万円
週末残高166万円77万円57万円167万円
安全資金との差+106万円+17万円-3万円+107万円

安全資金を60万円とした想定例です。実際の金額は店の固定費や支払条件に合わせて変更してください。

第3週の残高が減る理由

第2週に給与90万円と家賃30万円が重なり、第3週には仕入れの支払いが続きます。一方、カード・QR決済のまとまった入金は第4週です。月全体では現金が増えていても、第3週だけは安全資金を3万円下回ります。

記入する項目の決め方、将来の週をどう埋めるか、毎週の更新手順は 飲食店の資金繰り表の作り方 で詳しく解説しています。

表を見るときの順番

  1. 通帳とレジを見ながら、入金日と支払日を入力する
  2. 週末残高が最も少ない週を探す
  3. 安全資金を下回る金額と時期を確認する
  4. 支払日の前に、入金条件の見直しや金融機関への相談を始める

無料の13週間資金繰り表テンプレート

記入用、記入例、使い方の3シートを用意しました。青い文字のセルだけを変更すると、週末残高と安全資金との差が自動で計算されます。

Excel・Googleスプレッドシート対応

飲食店向け13週間資金繰り表

  • 現金売上、カード・QR、予約サイトの入金を分けて記録
  • 仕入、給与、家賃、税金、借入返済を週ごとに確認
  • 安全資金を下回った週を自動表示
無料テンプレートをダウンロード

Excel形式(.xlsx)。Googleスプレッドシートでも読み込めます。会計・税務上の判断に用いる場合は、税理士等へご相談ください。

融資を相談するときの準備

日本政策金融公庫は、小規模事業者・個人事業主向けの事業資金や、飲食店など生活衛生関係営業向けの制度を案内しています。制度があっても融資が保証されるわけではなく、審査があります。

用意したい資料

  • 直近の試算表・確定申告書・決算書
  • 13週間の資金繰り表
  • 借入残高、返済額、金利、完済予定
  • 資金が必要になった原因
  • 改善策と、実施後の売上・利益計画

希望額だけではなく「いつ、何に使い、どう返すか」を説明します。資金不足が見えた時点で、支払期限前に相談します。

なお、補助金は原則として精算払い(後払い)です。対象経費をいったん全額立て替える必要があるため、資金繰りに余裕がない時期の申請はかえって負担になります。制度の内容は 地域別の補助金一覧国の補助金制度 で確認できます。

30日で資金繰りを見直す手順

  1. 1週目|支払日を全部並べる通帳、カード、請求書、給与、税金、借入返済を集めます。
  2. 2週目|13週間表を作る入金日と支払日を週別に置き、最低残高を確認します。
  3. 3週目|改善額を試算する在庫、固定費、入金条件、メニュー粗利から効果が大きいものを選びます。
  4. 4週目|相談と実行を始める不足が残る場合は資料を持って金融機関や公的窓口へ相談します。

よくある質問

黒字なのに現金がないのはなぜですか?

売上と入金のずれ、在庫増加、設備購入、借入元本返済、納税など、損益と現金の動きが異なるためです。損益表と資金繰り表を分けて確認します。

資金繰り表は何か月先まで必要ですか?

まず13週間先まで週単位で作ると、給与や税金など支払日の谷を見つけやすくなります。その先は月単位で6〜12か月を見る方法があります。

資金が足りなくなってから融資相談しても間に合いますか?

審査と書類準備に時間がかかり、残高がほぼゼロになると選択肢が狭まります。不足が見えた段階で早めに相談します。

補助金で運転資金を確保できますか?

多くの補助金は対象事業を実施した後の支払いで、通常の運転資金を自由に補うものではありません。立替資金も必要です。

飲食店の運転資金はいくら必要ですか?

一般に、家賃・人件費・仕入れなど毎月の現金支出の3〜6か月分を目安とする考え方があります。ただし業態、席数、キャッシュレス比率、仕入先の支払条件で必要額は変わります。自店の月間現金流出額を先に出し、それを基準に判断してください。

資金繰り表はエクセルで作れますか?

作れます。必要なのは、週初残高、入金、支払、週末残高の4行だけです。本記事では13週間分をあらかじめ組んだ無料のExcelテンプレートを配布しています。Googleスプレッドシートでも読み込めます。

売上が落ちたとき、最初に見直す固定費はどれですか?

解約や減額がすぐ効くもの、つまり予約サイトの掲載プラン、通信費、サブスク型のサービス、リース契約から確認します。家賃や人件費は影響が大きく交渉にも時間がかかるため、先に効果の出る項目から着手します。契約ごとに解約期限があるため、支払日と併せて一覧化してください。

参考にした公的情報・相談先

最終確認:2026年7月24日