飲食店で使いやすい補助金は、POSレジなどのIT導入、チラシや看板による販路開拓、配膳や会計の省力化に大きく分かれます。
買いたい物だけで制度を選ぶと、対象外だったり、店の予定と交付決定時期が合わなかったりします。まず「レジ入力を減らす」「新規客を増やす」など使い道を決め、締切と対象経費を確認してください。
補助金は原則として後払いです。採択前や交付決定前に契約・発注した経費は対象外になる場合があります。自己資金や融資を含めた資金計画を先に作ってください。
2026年に飲食店が検討できる主要制度早見表
制度名を押すと、現在の締切、対象経費、飲食店での使い方を確認できます。
| 制度 | 向いている目的 | 補助上限の目安 | 受付状況 |
|---|---|---|---|
| デジタル化・AI導入補助金2026 | 店舗のIT化・省力化 | 最大450万円(申請枠により異なる) | 受付中 |
| 小規模事業者持続化補助金 一般型・通常枠 | 販路開拓・集客改善 | 通常50万円(賃金引上げ・インボイス特例の併用で最大250万円) | 受付予定 |
| 中小企業省力化投資補助事業 | 人手不足・省力化 | 最大1億円(申請枠・従業員規模等により異なる) | 受付中 |
| 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 | 新商品・新事業への挑戦 | 革新的新製品・サービス枠は最大3,500万円、新事業進出・グローバル枠は最大9,000万円 | 受付予定 |
| 小規模事業者持続化補助金 創業型 | 創業後の販路開拓 | 200万円(インボイス特例で50万円上乗せ) | 受付予定 |
| 事業承継・M&A補助金 | 店舗の引継ぎ・M&A | 最大2,000万円(申請枠により異なる) | 受付予定 |
制度ごとの確認日は詳細ページに記載しています。事業承継・M&A補助金は2026年9月6日に更新しました。締切、補助率、上限額は申請枠や条件により異なります。
飲食店は補助金をどう使うべきか
補助金は、開業資金や運転資金を丸ごと用意してくれる仕組みではありません。多くの制度では、申請、審査、採択、交付決定、事業実施、実績報告を経てから補助額が確定します。
開業前に必要なお金は自己資金と融資で準備する
物件取得費、保証金、内装工事、厨房機器、仕入れ、人件費などは、営業開始前から支払いが発生します。補助金の入金を待てない支出は、自己資金や融資を中心に組み立てます。準備する順番は 飲食店開業支援ロードマップ にまとめています。
補助金は投資の一部を補うものと考える
開業後の販促、予約・会計システム、省力化設備、新商品の開発など、今後の売上や生産性につながる投資を補完する使い方が現実的です。不採択でも実行できる計画かどうかも確認します。
飲食店で補助金を使える場合・使えない場合
同じレジや広告でも、購入時期や導入目的によって扱いが変わります。ここでは、飲食店で考えられる6つの想定ケースを比べます。
POSレジを導入する
会計の入力ミスや締め作業を減らすため、制度に登録されたPOSレジを登録事業者から導入する。申請と交付決定を待ってから契約する。
家電量販店でタブレットを先に買い、あとからレジアプリを入れる。導入する製品や販売会社が制度に登録されていない。
確認する制度:デジタル化・AI導入補助金、省力化投資補助事業
チラシ・看板・Web広告で新規客を増やす
新しいランチ営業を始め、近隣の会社員へ知らせるためにチラシと看板を制作する。誰に何を売るかを経営計画にまとめて申請する。
毎月出している広告を同じ内容で継続する。古くなった看板を元と同じ内容に交換するだけで、新しい販路開拓の説明がない。
確認する制度:小規模事業者持続化補助金
食器洗浄機や券売機を入れる
洗浄作業を1日3時間から1時間へ減らすなど、導入前後の作業時間を示せる。対象製品や必要な計画を確認してから申請する。
故障した機械を同程度の機械へ買い替えるだけで、作業時間や生産量が変わらない。申請前に注文や設置を済ませている。
確認する制度:省力化投資補助事業、自治体の設備導入補助
店舗サイトや予約ページを作る
宴会予約を増やすため、コース、人数、個室条件が分かるページと予約導線を新設する。対象経費を制作会社の見積書で分ける。
見た目を新しくするだけのリニューアルや、毎月の保守費だけを申請する。制度でWeb関連費だけの申請が認められていない。
確認する制度:持続化補助金、区市町村の販路開拓・デジタル化支援
新店舗の内装工事をする
創業者や空き店舗を対象にした自治体の制度へ、契約・工事前に申請する。対象地域、開業時期、営業日数などの条件を満たしている。
物件契約と工事を済ませてから申請する。敷金、保証金、仲介手数料など、制度が対象にしていない費用もまとめて申請する。
確認する制度:自治体の創業・空き店舗支援、創業型持続化補助金
毎月の家賃・仕入れ・給与を払う
創業者向け制度で一定期間の店舗賃料が対象になっている、または雇用関係の助成金で対象となる取り組みを行う。
普段の食材仕入れ、既存従業員の通常給与、光熱費、借入返済などを、使い道を問わない運転資金として補助してもらう。
補助金は、通常の運転資金を自由に補う制度ではありません。資金不足は融資や返済条件の相談も含めて考えます。
申し込む前の4項目
- 自店が対象地域・業種・従業員数などの条件を満たしているか
- 購入する物やサービスが、対象経費または登録製品に含まれているか
- 契約・注文・支払いの前に申請が必要か
- 補助金が後払いでも、いったん全額を支払えるか
4項目のうち一つでも分からない場合は、注文を止めたまま制度事務局や商工会・商工会議所へ確認します。「対象になると思って買った」は認められないため、先に確認記録を残しておく方が安全です。
目的別に見る、飲食店の補助金の選び方
POS・予約・会計をIT化したい
事務局へ登録されたITツールを導入する場合は、デジタル化・AI導入補助金が候補です。一般的なWeb制作や未登録ツールが自動的に対象になるわけではありません。
デジタル化・AI導入補助金を見る飲食店が検討できる主要6制度
デジタル化・AI導入補助金2026
POSレジ、会計、予約管理など、事務局に登録されたITツールの導入費を補助する制度です。飲食店では、レジと会計の二重入力を減らしたい場合などに検討できます。
- 対象の目安
- ITツールを導入して労働生産性を高めたい中小企業・小規模事業者
- 申請時期
- 通常枠・インボイス枠・セキュリティ対策推進枠:2026年9月29日(火)17時締切/交付決定:11月9日予定。複数者連携枠は10月30日(金)17時締切
- 補助上限
- 最大450万円(申請枠により異なる)
- 補助率
- 1/2~4/5(申請枠・規模等により異なる)
飲食店で考えられる活用例
- セルフオーダーで注文業務を効率化
- POSレジと会計ソフトを連携
- 予約・顧客管理をデジタル化
先に導入したい製品を決め、公式のITツール検索で登録の有無を確認します。ホームページ制作や、事務局に登録されていない独自システムの開発費は原則として対象外です。
小規模事業者持続化補助金 一般型・通常枠
小規模な飲食店が、新しい客層を増やすために行うチラシ、看板、改装などを支援する制度です。申請前に商工会・商工会議所へ計画書の確認を依頼します。
- 対象の目安
- 商業・サービス業では常時使用する従業員5人以下など、制度上の小規模事業者
- 申請時期
- 第20回:2026年11月5日(木)受付開始、12月15日(火)17時締切。事業支援計画書(様式4)の発行依頼は12月4日(金)まで
- 補助上限
- 通常50万円(賃金引上げ・インボイス特例の併用で最大250万円)
- 補助率
- 原則2/3(申請条件により異なる)
飲食店で考えられる活用例
- 新メニューやテイクアウト商品の販促
- チラシ・看板・Webサイトで新規顧客を獲得
- 展示会・商談会への出展
単なる設備交換や通常の営業活動ではなく、経営計画に基づく新たな販路開拓であることが重要です。
中小企業省力化投資補助事業
配膳、会計、洗浄などの作業を機械やシステムで減らす投資が対象です。既製品を選ぶカタログ注文型と、店に合わせて設備を組む一般型があります。
- 対象の目安
- 人手不足の解消と生産性向上に取り組む中小企業・小規模事業者
- 申請時期
- カタログ注文型:随時受付中/一般型 第8回:2026年8月18日(火)公募開始、9月中旬に申請受付開始、10月中旬に締切予定
- 補助上限
- 最大1億円(申請枠・従業員規模等により異なる)
- 補助率
- 申請枠・企業規模・金額等により異なる
飲食店で考えられる活用例
- 配膳ロボットでホール業務を軽減
- 券売機や自動精算機で会計業務を省力化
- 自動調理・食器洗浄設備を導入
カタログ注文型と一般型では申請方法や対象設備が異なります。まず解決したい作業を特定して枠を選びます。
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金
これまでの店の延長ではない新商品・新サービスを始めるための設備投資を支援します。単なる厨房機器の入れ替えや、既存メニューの販促だけでは対象になりません。
- 対象の目安
- 新しい製品・サービスや市場への進出によって付加価値向上を目指す中小企業等
- 申請時期
- 第1回:2026年9月30日(水)受付開始、10月30日(金)18時締切
- 補助上限
- 革新的新製品・サービス枠は最大3,500万円、新事業進出・グローバル枠は最大9,000万円
- 補助率
- 中小企業1/2(条件により2/3)、小規模事業者2/3など
飲食店で考えられる活用例
- 店舗運営の知見を生かした新サービスを開発
- 食品加工・物販など新しい収益事業へ進出
- 高付加価値な商品を新市場へ展開
2026年に始まった制度で、革新的新製品・サービス、新事業進出、グローバルの3枠があります。設備を買うだけでは申請できず、新しい商品・サービスの開発を伴う計画が必要です。
小規模事業者持続化補助金 創業型
開業して間もない小規模事業者の販路開拓を支援する制度です。開業時期に加え、自治体などが行う「特定創業支援等事業」を受けていることが条件です。
- 対象の目安
- 公募要領で定める創業要件を満たす小規模事業者
- 申請時期
- 第4回:2026年11月5日(木)受付開始、12月15日(火)17時締切。事業支援計画書(様式4)の発行依頼は12月4日(金)まで
- 補助上限
- 200万円(インボイス特例で50万円上乗せ)
- 補助率
- 原則2/3(申請条件により異なる)
飲食店で考えられる活用例
- 新規開業店の認知を広げる
- 看板・チラシ・販促物を制作
- 新商品販売のための店舗導線を整備
開業しただけで自動的に対象になるわけではありません。創業時期や特定創業支援等事業など、創業型固有の要件確認が必要です。
事業承継・M&A補助金
店を家族や従業員へ引き継ぐときの設備投資、M&Aの専門家費用、引継ぎ後の統合作業などを支援します。第16次公募は10月2日から申請受付予定です。
- 対象の目安
- 事業承継やM&A、承継後の事業統合等に取り組む中小企業・小規模事業者
- 申請時期
- 第16次:2026年10月2日(金)~11月6日(金)17時の申請受付予定。公募要領は9月4日公開
- 補助上限
- 最大2,000万円(申請枠により異なる)
- 補助率
- 1/3~2/3(申請枠・要件により異なる)
飲食店で考えられる活用例
- 後継者への店舗承継に合わせて設備を更新
- 他店の事業を引き継いで事業を拡大
- M&A仲介・FA等の専門家を活用
事業承継促進、専門家活用、PMI推進、廃業・再チャレンジなど複数の枠があります。目的に合わない枠では申請できません。
補助金の申請から入金までの流れ
- 経営課題と投資内容を決める集客、省力化、IT化など、何を改善するのかを先に言葉にします。
- 公募要領で対象を確認する対象事業者、対象経費、実施期間、必要書類を公式情報で照合します。
- 電子申請と支援機関の準備をするGビズIDや商工会・商工会議所の書類は、締切直前では間に合わない場合があります。
- 採択・交付決定後に事業を実施する交付決定前の契約や発注が認められるかは、必ず制度ごとに確認します。
- 実績報告を提出する請求書、振込記録、写真など、経費と実施内容を証明する書類を保管します。
- 確定検査後に補助金が入金される先に支払いが必要になるため、入金までの資金繰りを準備します。
飲食店の補助金・助成金でよくある質問
開業前の内装工事に補助金を使えますか?
制度によっては店舗改装等が対象になる場合があります。ただし、交付決定前の契約・発注・支払いは対象外になることが多く、開業スケジュールとの調整が必要です。
すでに注文したレジや設備も対象になりますか?
対象外になる可能性が高いです。多くの制度では、申請後の交付決定を待ってから契約・発注します。注文前に制度事務局へ確認してください。
補助金だけで開業できますか?
難しいと考えてください。多くの制度は後払いで、採択も保証されません。物件、工事、仕入れ、当面の運転資金は自己資金や融資を中心に準備します。
個人事業主でも申請できますか?
個人事業主を対象に含む制度はあります。ただし、従業員数、事業期間、創業支援の受講など、制度ごとの要件を満たす必要があります。
どこへ相談すればよいですか?
商工会・商工会議所、よろず支援拠点、制度事務局が主な相談先です。雇用関係の助成金は社会保険労務士、税務や資金計画は税理士・金融機関への相談も検討します。
申請前に、締切と立替資金を確認する
補助金は申請しても採択されるとは限りません。対象経費と申請時期が合う制度に絞り、採択されなかった場合も店を続けられる資金計画にしてください。
判断に迷う場合は、設備を注文する前に商工会・商工会議所やよろず支援拠点へ相談できます。
参考にした公式情報
各制度の公式サイトは、早見表と制度詳細から確認できます。
