飲食店の人件費率を見直す方法|単純な人員削減を避ける

人件費率の計算から、曜日・時間帯別の配置、作業時間、売上との関係を確認する方法まで解説します。

開店前に予約と担当を確認する飲食店スタッフ
イメージ画像:飲食店DXナビ編集部制作
飲食店DXナビ編集部

公的機関・制度事務局・サービス提供会社の公開情報を確認し、飲食店向けに整理しています。

編集方針

この記事でわかること

  • 忙しい時間と手待ち時間を分け、減らす作業と必要な配置を判断する
  • 人件費に含めるものを決める
  • よくある失敗と30日で進める手順
  • 飲食店での具体例とFAQ

人件費率が高いからといって、すぐ人数を減らすのは危険です。料理の提供が遅れ、回転率や再来店率が落ちれば、比率はさらに悪化します。見るべきなのは、人件費の総額だけでなく、どの時間にどの仕事へ時間を使っているかです。

この記事では、考え方だけで終わらず、店内で最初に集める数字、実際の進め方、失敗しやすい点まで順番に整理します。すべてを一度に変える必要はありません。自店に当てはまる項目を一つ選び、変更前後を同じ条件で比べてください。

こんな店向け人件費率が上がり、接客品質を落とさずシフトを見直したい店
最初にやること曜日・30分単位の売上、客数、出勤人数を1週間だけ重ねる
確認する成果時間当たり売上、提供時間、残業理由、取りこぼした注文を確認する
読了目安6

1. 人件費に含めるものを決める

給与とアルバイト代だけを見るのか、社会保険料、賞与、通勤費、採用費まで含めるのかを決めます。正解は一つではありませんが、月ごとに条件が変わると比較できません。

オーナーが現場に入っている場合、その労働を人件費に含めずに他店と比較すると、自店だけ低く見えるため注意します。

2. 月単位ではなく時間帯で見る

月商と月間人件費だけでは、忙しい時間と手待ち時間が混ざります。曜日・時間帯ごとの売上と労働時間を並べ、売上が少ないのに人数が多い時間を探します。

天候、予約、近隣イベントで必要人数は変わります。固定シフトを毎週繰り返すのではなく、予約数や過去の売上も見て調整します。

3. 人を減らす前に、作業を減らす

予約内容の転記、営業時間の電話案内、紙から表計算への入力など、接客や調理以外の作業を洗い出します。作業そのものをなくせれば、忙しい時間の人数を無理に削る必要がありません。

仕込み場所、食器、備品の置き方も毎日の移動時間に影響します。小さな改善でも、全員が毎日繰り返す作業なら効果が積み上がります。

4. 毎週見る数字

売上だけを見て人員を増減させず、労働時間、料理の提供時間、お客様を待たせた回数を一緒に並べます。

ここで確認すること

  • 曜日・時間帯別の売上
  • 総労働時間と時間当たり売上
  • 提供時間と待ち時間
  • 残業が発生した理由
  • 予約数と実際の来店数
  • クレームや取りこぼした注文

飲食店での具体例

CASE

金曜夜の人手不足と平日午後の手待ちを分ける例

月間人件費だけではなく、30分ごとの売上と人数を並べます。金曜夜は減らさず、平日午後の開始時刻と仕込み担当を調整し、提供時間と残業が悪化しないか確認します。

この例で大切なのは、最初から大規模なシステム導入や全面変更をしていない点です。対象を絞り、変更前の数字を残しておけば、結果が良くなかった場合も元へ戻せます。店の業態や客層によって結果は変わるため、他店の成功例をそのまま当てはめず、自店の数字で判断します。

よくある失敗と避け方

改善策そのものが間違っていなくても、確認する順番や比較条件がずれると成果が見えません。特に次の3点は、実施前に店内で共有しておきます。

01

比率を下げるために人数だけ減らす

提供遅れや機会損失で売上まで下がると比率は改善しません。先に作業と配置を見ます。

02

月合計だけを見る

ランチの不足とアイドルタイムの過員が相殺されます。曜日・時間帯別に分けます。

03

店主の労働をゼロ円で扱う

他店との比較や採算判断を誤ります。管理用には店主の現場時間も記録します。

30日で進める実行手順

忙しい店でも止まらないように、1週間ごとに目的を一つだけ置きます。途中で問題が見つかった場合は次へ進むより、記録方法や店内ルールを先にそろえます。

  1. 1週目|時間を記録する売上、客数、労働時間、提供遅れを時間帯別に残します。
  2. 2週目|作業を分ける接客・調理と、転記・電話・移動・待機を分けます。
  3. 3週目|配置を試す予約数と過去売上を使い、一部曜日だけ開始時刻や担当を変えます。
  4. 4週目|品質も判定する人件費だけでなく提供時間、残業、クレーム、売上を比較します。
判定の基準

時間当たり売上、提供時間、残業理由、取りこぼした注文を確認する。売上や比率が良くても、接客品質、再来店、スタッフの作業負担が悪化している場合は、続け方を見直します。

よくある質問

人件費率は何%が目安ですか?

業態や営業時間で変わります。給与に何を含めたかを固定し、FL比率、時間当たり売上、接客品質と合わせて自店の推移を見ます。

人手不足なら営業時間を短くすべきですか?

時間帯別の粗利益と必要人員を確認してから判断します。売上が少なくても仕込みや常連客に重要な時間帯もあります。

自動化すれば人を減らせますか?

導入直後から人員削減できるとは限りません。まず転記や定型案内を減らし、接客や調理へ時間を戻せたかを測ります。

確認に使える情報

料金、規約、制度、検索サービスの仕様は変更されることがあります。実際に契約・申請・設定を変更する前に、必ず提供元の最新情報を確認してください。

最終確認:2026年7月19日

この記事は一般的な店舗運営の考え方をまとめたものです。会計、税務、法務、労務など個別判断が必要な内容は、税理士、弁護士、社会保険労務士、公的相談窓口等へご相談ください。編集方針を見る