小さな飲食店の月次締め|毎月確認する数字と順番

売上、現金、在庫、未払金、原価、人件費、資金繰りを毎月同じ順番で確認するための実務ガイドです。

店内で見積書と経費を確認する飲食店オーナー
イメージ画像:飲食店DXナビ編集部制作
飲食店DXナビ編集部

公的機関・制度事務局・サービス提供会社の公開情報を確認し、飲食店向けに整理しています。

編集方針

この記事でわかること

  • 売上・利益・現金の違いを整理し、翌月の支払いを早めに把握する
  • 月末から5営業日以内に数字を集める
  • よくある失敗と30日で進める手順
  • 飲食店での具体例とFAQ

通帳残高だけを見ていると、売上はあるのにお金が足りない理由が分かりません。月次締めは立派な資料を作るためではなく、先月何が起き、来月いくら必要かを早めに知るために行います。

この記事では、考え方だけで終わらず、店内で最初に集める数字、実際の進め方、失敗しやすい点まで順番に整理します。すべてを一度に変える必要はありません。自店に当てはまる項目を一つ選び、変更前後を同じ条件で比べてください。

こんな店向け通帳残高や月末の売上だけでは店の状態を判断しにくい店
最初にやることPOS、通帳、請求書、勤怠、在庫の確認日と担当を決める
確認する成果前月・前年との差と、3か月先までの現金残高見込みを確認する
読了目安6

1. 月末から5営業日以内に数字を集める

時間がたつほど、現金差異や仕入内容を思い出しにくくなります。POS売上、現金、カード・QR決済、請求書、勤怠、在庫を毎月同じ場所へ集めます。

数字が完全にそろうまで待つのではなく、未確定の項目には印を付けて先に全体を見ます。後日確定したら差し替えます。

2. 売上と入金を分けて確認する

キャッシュレス売上は、売上日と入金日が異なります。POS上の売上と通帳への入金を混同せず、決済会社ごとの入金予定日と手数料を確認します。

売掛、予約サイト、デリバリーも同様です。売上が増えても入金が先なら、その間の仕入や給与を払う資金が必要です。

3. 損益と資金繰りを両方見る

損益では利益が出ていても、借入返済、設備購入、税金の支払いで現金は減ります。逆に、借入金が入れば現金は増えますが売上ではありません。

月次の損益表と、今後3か月の入出金予定を並べると、資金不足へ早めに対応できます。

4. 月次確認の順番

毎月同じ順番にすると、作業の抜けと数字の変化に気づきやすくなります。

ここで確認すること

  • POS売上と現金を合わせる
  • カード・QR・予約サイトの入金を照合する
  • 請求書と未払金を整理する
  • 棚卸しをして売上原価を出す
  • 勤怠を確定し人件費を集計する
  • 損益とFL比率を前月・前年と比べる
  • 3か月先までの支払予定を更新する

飲食店での具体例

CASE

月商は増えたのに通帳残高が減った例

キャッシュレス入金のずれ、在庫の増加、税金、借入元本返済を分けて確認します。損益が黒字でも、翌月10日の給与前に現金が不足するなら資金繰り表で先に対処します。

この例で大切なのは、最初から大規模なシステム導入や全面変更をしていない点です。対象を絞り、変更前の数字を残しておけば、結果が良くなかった場合も元へ戻せます。店の業態や客層によって結果は変わるため、他店の成功例をそのまま当てはめず、自店の数字で判断します。

よくある失敗と避け方

改善策そのものが間違っていなくても、確認する順番や比較条件がずれると成果が見えません。特に次の3点は、実施前に店内で共有しておきます。

01

数字が全部そろうまで締めない

確認が遅れるほど修正も遅れます。未確定項目に印を付けて先に概算を出します。

02

売上と入金を混同する

キャッシュレスや予約サイトは売上日と入金日が違います。決済会社ごとに照合します。

03

前年比だけで安心する

利益や現金が減っている場合があります。原価、人件費、固定費、資金繰りも並べます。

30日で進める実行手順

忙しい店でも止まらないように、1週間ごとに目的を一つだけ置きます。途中で問題が見つかった場合は次へ進むより、記録方法や店内ルールを先にそろえます。

  1. 1週目|資料の置き場を決める売上、請求書、勤怠、在庫を毎月同じ場所へ集めます。
  2. 2週目|締め順を固定する売上、入金、仕入、在庫、人件費、資金繰りの順に確認します。
  3. 3週目|差の理由を書く前月との差が大きい項目に、天候・価格・予約など理由を一行残します。
  4. 4週目|翌月の行動を一つ決める担当と期限を決め、次回の月次で効果を確認します。
判定の基準

前月・前年との差と、3か月先までの現金残高見込みを確認する。売上や比率が良くても、接客品質、再来店、スタッフの作業負担が悪化している場合は、続け方を見直します。

よくある質問

小さな店でも月次締めは必要ですか?

規模が小さいほど大きな資金余力がない場合があります。精密な資料より、毎月同じ順番で早く異常を見つけることが重要です。

会計ソフトがあれば十分ですか?

会計ソフトだけでは、未入金、今後の支払い、欠品、予約状況など現場情報を把握できません。損益と資金繰りを分けて見ます。

何日までに締めればよいですか?

自店の運用に合わせますが、遅れるほど改善が翌月へ反映できません。まず月末から5営業日以内を目標にし、未確定項目は後で直します。

確認に使える情報

料金、規約、制度、検索サービスの仕様は変更されることがあります。実際に契約・申請・設定を変更する前に、必ず提供元の最新情報を確認してください。

最終確認:2026年7月19日

この記事は一般的な店舗運営の考え方をまとめたものです。会計、税務、法務、労務など個別判断が必要な内容は、税理士、弁護士、社会保険労務士、公的相談窓口等へご相談ください。編集方針を見る